熊本大学ダイバーシティ推進室

DIVERSITY

Columnコラム

ダイバーシティの原動力

  • ダイバーシティ

倉田賀世 ダイバーシティ推進室長

 

熊本大学を象徴する建物として五高記念館があります。五高記念館のHPによれば、第五高等学校は「中学校令により全国5か所に設置された高等中学校の一つで」、「1894(明治27)年の高等学校令により「第五高等学校」と改称し」、その後、「学制改革により、1950(昭和25)年に63年の歴史を閉じ、熊本大学へ統合され」たとのことです。HPでは、男子学生が集う当時の教室の様子を写した写真を見る事ができます。五高時代から長い時間を経て現在では、女子学生が本学学生全体の40%を占めるようになっています(2024年5月時点)。
女子学生の増加にかかわらず構成員の多様化は、大学にどのような変化をもたらすのでしょうか。例えば、女性や車椅子の方も利用できるトイレの設置等、施設面での変化のみならず、様々な価値観や考え方に基づく多様な視点が、より良い大学への変革の起爆剤になるといった期待も寄せられています。一方で、構成員の多様化により価値観の対立や組織としての一体感の低下といった状況が生じやすくなるといった指摘もあります。
授業で学生達にグループ学習をさせる際、私はよくあみだくじを使ってグループを作ります。思いがけない相手との共同作業に最初は互いに遠慮がちに接している学生達が、何回かの共同作業を経て次第に打ち解け、自由に議論を交わすようになっていく様は、端から見ているかぎり、とても興味深く、また、楽しいものです。時には、最後まで打ち解け合うのが難しいように見えるグループもありますが、それでも、もしかしたら一度も話をする機会がなかっただろう者同士が関わり合う機会が生まれたこと自体に、何らかの意味や価値があるに違いない、と考えています。
おそらく、五高時代からすれば想像もつかなかったような多様な出会いや衝突がある今の大学。そのような場を更に拡げ、そこから生み出される様々な物を見てみたい。そして大学だけでなく社会の変革につなげたい。そのために、本学の構成員、あるいは、価値観の多様性がより拡げられるような環境整備を図りたい。次から次と出てくる想いが、ダイバーシティを進める原動力となっています。