1887年に設立された第五高等学校を母体とする熊本大学は、伝統や文化という強みを活かしつつ開かれた大学への躍進を続けています。「ダイバーシティ（多様性）」の実現への取組もその現れの一つです。本学では、第4期中期目標に「若手、女性、外国人など研究者の多様性を高めることで、知の集積拠点として、持続的に新たな価値を創出し、発展し続けるための基盤を構築する」を掲げており、令和5年4月、これまでの「男女共同参画推進室」を「ダイバーシティ推進室」に改組しました。年齢、性別、国籍等に関わらず、多様な人材を登用し、個々の能力を最大限に発揮できる取組を継続的に推進することで、大学全体がさらに活性化することを目指しています。
　たとえば、令和5年度の状況を見ると、学部入学者のうち44・75％が女性となっています。また、学部・大学院と合わせて45カ国から475人の外国人留学生を受け入れており、構成員の多様化は進んでいるように思います。しかし、構成員の多様化だけでは、真の多様性の実現は困難です。なぜなら、組織の多様化の実現のためには、培われてきた伝統や文化と新たな価値が融合し、両者を含んだ更なる新たな価値の創造が求められるからです。
　本学は、未だこの過程の道半ばにあります。ダイバーシティ推進室は時に既存の価値や文化とぶつかることもおそれず、真の多様性の実現とこれによる組織の活性化、および、地域や社会への貢献を目指し、歩みを進めて参ります。引き続き、皆様のご支援とお力添えを賜りますよう、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。