Interview 01

「仕事は楽しく、
遊びは真面目に」をモットーに。

川越 明日香

Asuka KAWAGOE

大学教育統括管理運営機構准教授
社会科学系
(高等教育論・教育心理学・教育方法学)

川越 明日香

一冊の本との出合いが研究者の道を拓いた

夢は小学校の先生だった

研究者になったきっかけは、大学院時代に出合った『心理学者、大学教育への挑戦』(溝上慎一・藤田哲也編)という一冊の本。大学の授業で感じていた疑問や不満の解決ヒントがこの一冊に凝縮されていました。また、この本で大学教育や高等教育という分野を知り、「研究してみたい」と強く思うようになりました。それでも実際は、幼少期からの夢であった小学校教諭を捨てきれずに迷っていたのも事実です。研究者になることを後押ししてくれたのは、当時の指導教員。私が今なお尊敬するロールモデルです。
教育学部では体育を専攻していたこともあり、ジャージ姿で授業も後ろのほうの席に座るなど、どちらかというとやる気のない学生でした。ただ、学年が上がるにつれ教育学が面白くなり、現在の研究テーマ「授業改善」の視点から主体的に授業を受けるようになりました。意識が変わり、本気になった瞬間かもしれません。
幼い頃から小学校教諭に強い思いがあったので、教育学部進学に迷いはありませんでしたが、修士課程への進学は迷いました。経済的な面で両親を悩ませてしまいましたが、幸いなことに奨学金制度を利用し、学費や生活費には困りませんでした。博士課程進学については、就職への不安や親への金銭面の負担などに申し訳なさを感じましたが、最終的には「研究者になりたい」という強い思いが勝りました。今こうして目標としていた仕事につくことができ、やりがいのある日々を過ごしているので、あのときの選択は間違っていなかったと確信しています。

研究のモチベーションは学生や先生たちの生の声

大学教育への挑戦を続ける日々

研究テーマは、大学の教育改善です。また、教育の質を保証するためにどのようなカリキュラムが必要で、その内容や方法が効果的であるかを研究しています。学生のみなさんが、「熊本大学を卒業してよかった」と言ってくれたとき、この仕事に関われて良かったと思います。また、私の研修を受けた先生方がご自身の授業で「学生の目の色が変わった」と実感され、授業が改善されたと報告を受けたときも喜びを感じます。

多角的に物事を見るために、遊びも一生懸命

悩んだときは、ひと呼吸

私が意識していることは、大学時代の先生の言葉「勉強(仕事)は楽しく、遊びは真面目に」です。仕事はたくさんの人と関わりながら積極的にコミュニケーションを図り楽しくできています。一方、休日は全力で遊んでいます。疲れているときこそジョギングや運動で汗を流したり、静かなキャンプ場でのんびり過ごすと心が落ち着きます。また、国内外に旅に出ると物事を多角的に見ることができます。楽しく仕事をし、全力で遊ぶことでバランスを取る。このメリハリが、仕事に全力で向き合い、プライベートを楽しむのには大事だと思っています。
学生時代は楽しいことがある反面、嫌なことや悩みごともたくさんありますよね。でもひと呼吸おいて冷静になると、どこかに解決の糸口が見つかることがあります。「一つのことを多角的に見る」ことでさまざまな考えを持てるようになるからです。チャンスは無数にあります。いまは見えていないかもしれないそのチャンスを見つけ出し、ぜひ自分のものにしてください。

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